映画製作が禁じられたイラン監督の新作「人生タクシー」

イラン政府から20年間、映画製作を禁じられているジャファル・パナヒ監督(56)の新作「人生タクシー」が公開中だ。人生タクシー DVD監督自らタクシー運転手になりテヘランの街中を巡回。車載カメラで撮影された市井の人々を通してイラン国内の社会問題を浮き彫りにしていく。この映画でプロデューサーを務めたイラン人で日本在住のショーレ・ゴルパリアンさんはパナヒ監督について「限られた枠の中で何ができるかを常に考えている」と語る。

タクシーに乗り込む乗客は一癖も二癖もある人たちばかりだ。死刑制度について議論する男たち。イラン国内では見られない外国映画の海賊版レンタルDVDでもうけようとする業者。国内で上映可能な映画を撮影しようとする小学生の姪。LOGAN ローガン DVD政府から停職処分を受けた弁護士…。ゴルパリアンさんは、「この映画で話される一つ一つの言葉は全て監督が言いたいこと」と語る。

パナヒ監督は、イランを代表するアッバス・キアロスタミ監督(1940~2016年)のまな弟子で、「白い風船」で1995年カンヌ国際映画祭カメラ・ドール(新人監督賞)、「チャドルと生きる」で2000年ヴェネチア国際映画祭金獅子賞、「オフサイド・ガールズ」で06年ベルリン国際映画祭銀熊賞(審査員特別賞)を受賞し、映画 人生タクシー DVD世界3大映画祭を制覇した。ところが、09年の大統領選で改革派を支持したことから逮捕された。2回目の逮捕時は86日間拘留されたが、世界中からの支援や自身のハンストで保釈になった。裁判所では、映画製作・脚本執筆・海外旅行・インタビューを20年間禁じ、違反すれば6年間の懲役が科される。

人間は窮地に陥るとあの手この手のアイデアがひらめくようだ。軟禁状態のときに、自分を被写体にしてドキュメンタリー映画「これは映画ではない」を撮った。ローガン DVD映像を収めたUSBを菓子箱に隠して持ち出し、2011年のカンヌ国際映画祭で監督としての功績をたたえる黄金の馬車賞を受賞した。今は軟禁から解かれており、今回タクシーを舞台にしたのは、車載カメラで撮影することで「これは映画ではない」と主張できるからだ。ゴルパリアンさんは「小さな撮影機材でも映画は撮れるし、タクシーで移動しているから、見つかっても逃げることができた」と明かす。



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2017年05月23日 Posted byrinae at 10:20 │Comments(0)映画

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